回想シーンでご飯3杯いける

新感染 ファイナル・エクスプレスの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

4.2
またまた韓国映画の傑作。一応、ソンビ映画の体裁をとっているけど、ホラー映画ではない。この辺りのサジ加減が絶妙で、観客を怖がらせたり、逆にB級的な笑いを誘うのではなく、韓国らしい人間ドラマとエンタメ要素をふんだんに盛り込んだ、相変わらずのパワフルな作品になっているのが良い。

まずは、ゾンビが出てくるのに夜のシーンが無いという思い切りの良さ。韓国映画という事で、さすがに血のりの量は多めだけど、ソウルを出発した特急列車がプサンに到着するまでの所要時間と上映時間がほぼ同じというミニマムな設定や、列車という細長い空間を有効に使ったアクションと戦略性も相まって、エグさよりも、ファミコン時代の横スクロール・アクションゲームに近いスリル感が前面に出ていて小気味良い。

特急列車という事で、偶然乗り合わせた乗客同士の人間関係や、各々の家族関係も見所。パニック状態の中で露になる人間のエゴ、恐怖心、偏見等の醜い部分もしっかり描く事で、ドラマとして見応えがある。終盤に向って、結構な人数がゾンビ化、または死んでしまうのだが、アジア映画らしい因果応報の考えに則った結末が各登場人物に割り振られており、観る側の感情を大きく揺さぶる。

最近は目が肥えてしまって、映画で泣く事も減っていたのだが、久々の号泣がまさかゾンビ映画になるとは、、、恐れ入りました。