頭痛

新感染 ファイナル・エクスプレスの頭痛のレビュー・感想・評価

4.1
邦題の目眩がするようなダジャレは置いといて、この「釜山行き」文句なしに面白い!

“ゾンビマスター”ジョージ・A・ロメロから掃いて捨てるほど作成されてきたゾンビ映画という枠で、今作は王道かつ新時代的な作品である。

仕事優先で家庭を顧みない主人公ソグは、妻とは別居で、一人娘のスアンには誕生日と子供の日で同じWiiを買ってきちゃうくらいダメ親父。
娘の頼みで会いたくもない妻のところに連れ立って行く羽目に。そうその列車が正に、「釜山行き」である。

電車に乗り合わせた老姉妹、高校野球部、妊婦とその夫、そしてホームレスや、感じの悪いお偉いさん。色んな立場の人間が集まったこの不穏なチューブ状の密室。外界の異変により、地獄の超特急へと変貌を遂げる。

自分のことしか考えない主人公が、娘や乗り合わせた人々を守ろうとする様になるまでのプロセスが秀逸。ゾンビの特性や、乗客のバックボーンなど伏線回収が超気持ちいい。
主人公と同じようなホワイトカラー階級の爺さんがどんどんじぶんが生き残るために他人を蹴落とし悪の権化と化す中、主人公は絶体絶命の状況で周りからの助けで人間として成長していく。
最終局面はさながら善と悪の対決で、心地よいカタルシスで脳がとろけそう。

いわゆるゾンビ映画でよくあるチェーソーンや、銃火器を用いず周りにあるもので、突然のバイオハザードに立ち向かう登場人物達が非常に生々しくリアルである。

昨今の韓国映画は生々しさを描かせたら超一級品で、残酷描写も程よく、感動もしちゃう。
バイオハザードは見習ってどうぞ。
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