マクガフィン

エルネストのマクガフィンのレビュー・感想・評価

エルネスト(2017年製作の映画)
2.9
キューバ革命の英雄チェ・ゲバラと共闘した日系人のフレディ前村の革命に殉じた高潔な人生の物語。

人を助けようと医師を目指したフレディ前村は、キューバの国立医学大学へと留学するのだがキューバ危機のさなかにチェ・ゲバラと出会い心酔し銃を手に取る。

2人は、「不正や不平等に対する怒り」や「弱者を助けたくて医師を志す」事や「自由のための闘争に意義を見出す革命の根底」に共鳴したのでは。そして、フレディ前村はゲバラに心酔して革命に身を投じ、ゲバラはファーストネームである「エルネスト」を戦士名としてフレディ前村に授けたと解釈したのだが、それはチェ・ゲバラの映画や書籍等で人物像や時代背景をある程度理解している人に通じる話である。

この描写が弱いのでフレディ前村の行動に確かな説得力がなく、作品の根幹を揺るがす原因に。

静かで丁寧な作り方は良いのだが、淡々と一辺倒に展開する手法は記録映像風で脚本が弱く伝わりにくい。演出に見るべきものがなければ退屈で、映画として面白くないのが残念。

重厚な題材が生かし切れているとは言えないが、正義を求める愚直な思いに心打たれる。