Moeka

ゴダールの映画史 第3章 映画だけがのMoekaのレビュー・感想・評価

4.0
ゴダール、あなたという人は言葉を愛しながらもその不完全さを悟り、言語さえも映像にしてしまうのだ。音響と映像の融合、ソニマージュ。クリムトが、ボードレールの旅が、繰り返し繰り返し交錯し、ゆっくりと審美的に染み込んでゆく。
映画は人間の欲望に叶うように置き換えられた世界だ。
映画は娯楽産業でも情報産業でもなく死と性に憑かれた化粧品産業、仮面の産業なのだ、
映画は物語を語る、映画は歴史を変えて信じろという。映画は現実逃避産業だ。映画は記憶が奴隷である唯一の場だから。幼い芸術は大戦の一つや二つで崩壊してしまい、神は逃げ去った。映画は商品に堕した。全ての映画を燃やしてしまえとラングロワに言った。燃やすなら心の炎で。燃えて甦るのが芸術だ。映画には未来がない。未来がないとは映画は現在形の芸術だからだ。映画だけが歴史を語ることができ、歴史をつくる唯一のものだ。映像とは現実への贖いだと知った。全てを覆い尽くす死と性と美のイメージ、そしてゴダールというある過激でまっすぐ、いやひねくれ者の芸術家の魂の断片をみる。