スガシュウヘイ

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだらのスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

1.0
(2012年8月のレビューです)
悲劇。
負の遺産。

今までみた映画の中で
一番ひどい。

まず脚本がぐちゃぐちゃ。
1から10までぐちゃぐちゃなので、
どこから突っ込んでいいかわからない。
逆にいえば、突っ込むことすらできない。
これはむしろ天晴れというべきか。

展開に違和感がありまくるので
最後は感動どころか嘲笑である。
第一ダメダメだった野球部が
あんなちょっと練習しただけで
甲子園など行けるはずもない。
甲子園をなめるでない。

そしてクサイ三文芝居の連続。
キャストの演技がとにかく下手。
「まじかよ」と思うほど
下手なシーンもあり、
巻き戻してもう一度見てしまった。

本来は実力派のはずの、
大泉洋や瀬戸康史の演技ですら
今回はまるでダメだった。

前田敦子にいったては
なぜ終始あんなにも
不機嫌そうな顔をしているのか。
“女優という仕事は私の本意ではない”
というメッセージを伝えようとしているのか。

しかし残念ながら
我々はそのような個人的なメッセージを
映画を通して受け取りたいとは願わない。


作品タイトルにドラッカーという
名前がついているが
ドラッカーの『マネジメント』が
チームに影響を与えているようにも思えない。
原作は未読だが、
私もドラッカーの『マネジメント』は読んだ。
読むたびに新しい啓発を頂ける名著である。
『マネジメント』はそんなに単純な本ではない。

なぜ、このような作品が
作られるのか?
監督は本当に真剣に作ったのだろうか。


今一番売れているアイドル“前田敦子”と
ヒット本『もしドラ』を使えば、
中身がなくても映画のヒットは間違いない。
そんな意図がみえる。
そして私のような映画ファンは、
このような図式の映画が大嫌いだ。

今回の場合はそれが特に顕著。
今まで見た映画の中で一番ひどい。
記念すべき作品。
駄作と一言で片付けるにはもったいない。

冒頭の言葉を繰り返す。
本作は、
大衆迎合が生んだ悲劇。
邦画界における負の遺産。

制作:2011年(日)
監督:田中誠