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スクリーム・オブ・バンシー~殺戮の妖精~の光のレビュー・感想・評価

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被害者人数が少ない事に目を瞑れば設定やクリーチャーデザインなど味のある良作ホラー映画だったと思う。
題材となったバンシーの都市伝説などは一応知ってはいるのですが、いろいろな作品で設定が改変されていてもう本来の設定などどうでもいいやというような状態になっていますね。
今作ではホラー作品ということで“バンシーの叫び声を聞く”ことが狙われるトリガーとなっている設定がおもしろい。
さながら『リング』における呪いのビデオのごとく殺される状況にするための条件やルールがある。
それによって主要登場人物だけが狙われるという低予算作品の問題を攻略している点が上手い。
ルールも法則もなく、殺される人に理由もなく適当に巻き込まれる犠牲者が多くて、描写もできないのに規模を無駄に広げた結果粗だらけになって風呂敷も畳みきれなくなるダメな作品が多くある中で本作は上手く調整されていた印象です。
そして絶叫したら死亡というルールがホラー映画との親和性も強く設定のシナジーが最高だ。
それゆえにバンシーが絶対叫ばせるマンと化してあの手この手でビビらせに来るという見せ場の提供にも事欠かさない。
物理的にビビらせに来るかと思えば、『エルム街の悪夢』のごとく現実系幻覚攻撃で脳髄から破壊にかかる点も好き。
中でも血液責めのシーンは意味不明の素晴らしさがあった。
バンシーの叫びを有効活用した展開も見事で、バンシー本体の叫びは復活時の初回だけなのですがそれをビデオ録画していたためバンシーの叫んでいるビデオを見た・聞いた人も標的に立候補してしまうというマジで『リング』の呪いのビデオ化していた展開は大好きです。
さらに終盤では元凶となった人物にバンシーの叫び音声を電話で聞かせて巻き込ませるといった使い方をしていた点も良かった。
これで本当に都市伝説化させてもいいんじゃないの?と思えるくらいの材料がそろっていて可能性を感じますね。
小道具が魅力的という点も見逃せませんね。
バンシーを葬る三種の神器なるものが登場するのですが、二股の矛、籠手、そして十字盾それぞれのデザインが中二心をくすぐる。
中でも十字盾がBOX可変式でそのままバンシーの首を梱包して封印するギミックになっているという発想が斬新で大好き。
バンシーの干乾びた生首造形も禍々しくてGood
終盤登場するランス・ヘンリクセンのマネキンの館も無駄に狂気感あってGood
全体的には、派手さがなくこじんまりとした作品で被害者人数も少ないボリューム不足感が気になりますが、部分的なホラー要素は素晴らしく贅沢でよく出来ていた印象です。
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