たく

ダゲール街の人々のたくのレビュー・感想・評価

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)
3.8
監督のアニエス・ヴァルダ自身が住んでいたパリのダゲール街の住民の生活を切り取ったドキュメンタリー。

冒頭でマジシャンが登場し、あたかも彼のショーの一部として街の様子を披露していくような構成になってる。パリの中心街ではなく、あくまで監督自身の住居の半径50m以内のごくごく身近な周辺を取材しており、そこで暮らす人々の仕事っぷりを温かい目で捉える。

アニエスのルーツのような商店から始まって、精肉店や食料品店、理髪店など店舗の営業風景を淡々と写していき、住民自身の来歴紹介、夫婦の馴れ初めの紹介へとだんだん深堀りされていく。中盤でマジックショーの様子を街の生活風景に重ねていくところが面白くて、人々が一つの会場に集まって盛り上がってる様子から街の和気あいあいとした雰囲気が伝わってくる。終盤でマジシャンが観客全員に眠りの催眠術をかけるところで、街の住民たちと観客が対面するような無言のカットが並べられるのが印象的。

フランスでは自動車免許取得のための走行練習を公道で行うと知って驚いた。
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