享楽

スプリットの享楽のレビュー・感想・評価

スプリット(2017年製作の映画)
4.6
これ程の悪党もなかなかいないんじゃないかというぐらいに達の悪い男を久しぶりに目撃した。さて例の凶悪な彼は本当に解離性同一性障害なのだろうか。ところで精神病とは何であろうか。精神病とは、精神的な病によって社会生活の営みが困難な状態を指し、精神病者であるということは、当事者が人間的な社会生活を送ることが困難であることを指して言う。
さて彼は異常なのだろうか。それとも正常なのだろうか…。おそらく正常さの中で倦み疲れ、異常さへの欲望に取り憑かれた男なのだろう。人格障害には何らかの原因があり、これまで多くの映画は人間のトラウマ(心的外傷後ストレス障害)を描写するにあたってその結果(当事者が苦しんでいる様子)と原因(トラウマとなる原因としての過去の出来事)をセットで見せてきた。しかし今作のあの男に関するそのような原因の描写はなく、むしろ被害者側の一人の女性のその原因と結果のワンセットを提供し最終的に加害者側がそれに同情すると言う形で加害者側のトラウマをいわば迂回した形で間接的に描いている点は私の中では新しい。3vs23(+1)=1という新しい戦闘図式はエンタメ性抜群である。是非多くの人にご覧頂きたい内容だ。
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