ハッピーアイスクリーム

スプリットのハッピーアイスクリームのレビュー・感想・評価

スプリット(2017年製作の映画)
3.7
解離性同一性障害で23人の人格をもつ男と、彼に拉致・監禁された3人の女子高生との闘いを描いたサスペンス・ホラー。

ビーストは本当に悪なのか。

M・ナイト・シャマラン監督が『インシディアス』などの大ヒットホラーシリーズを手掛けるジェイソン・ブラムと手を組んだ作品。

主演のジェームズ・マカヴォイの怪演が見事でした。
途中のカウンセリングでカウンセラーを欺くために出ている人格とは別の人格を演じるシーンがすごいと思った。
この映画、彼の面倒を見るカウンセラーとマカヴォイの対話シーンが結構長くて多いのだけど、見入ってしまう。2人の巧妙な心理戦は飽きさせない。

物語的には結構ありがちな異常者と囚われた女の子の攻防なんですが、シャマラン独特のとんでもない事が起きてるのに、ローテンションに進行する雰囲気はやっぱり好き。
過去と現在が同時に進行してラストに繋がるのが上手い。
この監督はベタを自分のオリジナリティで新しいものにアレンジする天才だなとよく思います。

“失意のものは より進化したもの”

よくこの映画が悪の誕生のように評されるのを見るが、過去のトラウマから身を守るために生まれたそれを悪としていいのか僕には分からない。
そもそも彼に悪意を感じなかった。

そして、シャマラン監督の作品が好きなら驚きのラスト。
長年映画を観続けているとこんなサプライズがたまに起こる。
やっぱり映画はやめられない。