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怪談お岩の亡霊のmitakosamaのレビュー・感想・評価

怪談お岩の亡霊(1961年製作の映画)
3.6
新東宝でも伊右衛門を演じた若山富三郎の、東映での四谷怪談。
新東宝版の歌舞伎の色合いを残す品の良い伊右衛門に対し、こちらはザ☆外道!同じ役者の演技の使い分けが実に見事。

全体的には鶴屋南北のオリジナルにかなり近い。
宅悦は盲目じゃないが金貸しと地獄宿もやってる。でも劇中では割と良い人になってる。
ちゃんと小仏小平が出るので、戸板返しもお岩さんと小平太で行われる。

直助権兵衛は近衛十四郎。
ラストにかけての直助と与茂七との絡みはアレンジされてる。お袖さんによる敵討ちに直助と与茂七が助太刀するオリジナル展開。
若山・近衛といえば殺陣の上手いトップ2じゃないですか。贅沢ぅ。

しかし伊右衛門のクサレ外道っぷりが酷い。歴代伊右衛門でもトップクラスじゃないか?
お岩にも小平にも宅悦にも暴力暴言振るう振るう。悪いのぅ。
一方でセリフ無く表情だけで魅せるシーンも多く若山富三郎の凄味を感じる。お袖を舐め回すように見たりとかゲスい感じがよく出てる。

お岩さんはいつも酷い目にあってもたまに優しくされるとホロっときちゃう。典型的なダメンズ好きじゃないか。

かなり血生臭いし、特殊メイクもグロめ。ショッキングな描写も多い異色作。

これで前後の四谷怪談は一通りレビューしたかな。
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