YokoGoto

関ヶ原のYokoGotoのレビュー・感想・評価

関ヶ原(2017年製作の映画)
3.2
<歴史ロマンにもヒューマンにも、どちらにも収まらなかった>

“原田眞人監督が、正統派の歴史超大作を撮る。”
なんと、ワクワクさせられる一本なのか、と、ある一定の期待感を抱いて鑑賞した人も多いだろう。
(ただ、司馬遼太郎の『関ヶ原』で、石田三成役に岡田准一さんをキャスティング?という点では、『???』という疑問符はついたが。笑)

Trailerを観る限りでは判断しきれなかったので、大画面の劇場で鑑賞してきた。


実際、『天下分け目の関ヶ原』と言われるが、実際は、この闘いで徳川家康は天下をとってはいない。その後の『大阪の陣』で天下をとるわけなので、『関ヶ原』はその前の前哨戦。

あくまでも、徳川家康の腹黒い駆け引きに、石田三成が負けるという戦であり、『関ヶ原』がこんなにも注目されるのは、『関ヶ原』に至るまでの東軍西軍の布陣の駆け引き。

2時間の映画にまとめあげるには、はなから無理があるもので、どこに焦点をあてるかがキモになるのであろう。
そういう意味では、原田眞人監督がどこを切り取ったのかが、もっとも注目であったが、まさかの“薄く浅く描く”という『関ヶ原』になっていて驚き。

おそらく、『関ヶ原』の攻防を詳細なまでに知り得た人は、物足りなさを感じ、あまり知らない人はアウトラインだけをなぞって観てしまうので、あまりにも感動が薄い。

私も、そんなに深く理解しているわけではないので、アウトラインをなぞるのが精一杯であった。


結果、歴史物語では、最大のドラマチックな展開であった『関ヶ原』が歴史ロマンでもなく、普通のヒューマンでもなくなってしまい、どちらにも収まらなかった感じがあったのが否めなかった。(ただ、映画としての一定のレベルであるという事を踏まえた上での評です)

『関ヶ原』のキモは、小早川秀秋の裏切りと、動かなかった毛利家。
小早川秀秋も毛利家も、あまり深く描かず、どちらかというと“石田三成を正義をつらぬく人”という視点でまとめあげているので、『関ヶ原』の戦としての面白さは、伝わりにくい構造になっている。

ならば、思い切り石田三成の人となりに焦点をあてて描いているのか?というと、そういう訳でもなく、特に有村架純さんとのからみには、多少の強引さを感じ得ない。『おいおい』という気持ちになってしまった。

ただ、そのあたりは、原田眞人監督のシナリオであり、演出であるとして楽しむのが本筋だと思うので、一概に否定はできないと思うが。

あと、キャスティングの面では、やはり石田三成役に岡田准一さんは強引だったろう。演技がうんぬんという事は言わないが、どうしても佇まいに『平成感』が出てしまう。
本作の『関ヶ原』は戦の布陣の面白さよりも、石田三成に焦点を当てているのだから、もっと魅力的なキャラクターにする必要があったと思うが、それを岡田准一さんが表現できていたとは思えない。(すいません、ハッキリいいすぎてて)黒澤明監督が描くサムライは、感情移入できるキャラクターにしあげている。それがドラマ性を高めるのあり、どうしてもそれを求めてしまう。。。。。

時代劇に『平成感』が出てしまうのは、TVの大河ドラマで十分かも。笑

主役の石田三成以外を脇キャストとするならば、徳川家康役の役所広司さんも、そうなのだが、役所広司さんの徳川家康像は流石だなとは思った。しかし、役者が多すぎて、その魅力も分散してしまったようである。

有村架純さんに関しては、諜報活動を行う女性役だが、時代劇にして、なぜあんなにほっぺがふんわりしていて子犬のような可愛らしさがあるのか?『平成感』という雑念が振り払えなかった。

ただ、原田眞人監督には、今後も良作・大作を作り続けて欲しい。
そういう意味では、常に応援している映画監督の1人である。

※最後に、やはり大作映画の主役には、映画俳優を据えてほしい。切に願う。

なんか、ハッキリ書きすぎてすいません。m(__)m
YokoGoto

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