シランガナ

関ヶ原のシランガナのレビュー・感想・評価

関ヶ原(2017年製作の映画)
4.3
とくと御覧あれ!!

という予告編の岡田くんの煽りを楽しみに待ちつつ、とくとご覧してきました。

まずこの作品、日本映画にしては良くやったなと思える部分は細々とした説明を全て端折っている点。

彼が誰で、どういう勢力図で、裏で何が動いているか、など。そんなのはこれを見にくるような人は当然みんな知ってるレベルのことなのでわざわざ説明する必要がないわけだから。その説明を始めるととてもじゃないけど2時間では収まらない。

なので、映画としては2点だけをキッチリ描こうとしていたように思う。

1点目は、家康・三成の確執

ここ最近は三成を義の人としてことさらに美化する風潮があり、この作品もまあそれは踏襲しているわけだがどちらかと言うと秀吉殿下とか豊臣家への恩義ではなく家康気に入らねえ、勝手なことやんなや、っていう動機で動いている三成に見えるので、その点リアルで良かった。

家康の狡猾さは言わずもがな。しわぶきを飛ばしながら罵倒したり怨みごとを撒き散らす役所広司は相変わらずやり過ぎ一歩手前、笑わせて貰いました。

この2人、作中で顔を合わせて会話をするシーンはほとんどないのですがとにかくそれはもうお互いのことが嫌いでしょうがないんだろうなっていうのが終始ビンビンに伝わってきて、演出とか演技ってのはすごいよなあと感心していました。

2点目は合戦を描くこと

ここ最近は映画も大河も予算不足で、まともな合戦(特に野戦)シーンって大河だと葵徳川三代、映画ではラストサムライ以降見れていないのではないか。

そういった意味で今作は国内では久しぶりの合戦をちゃんと描くことに集中しているし、こうやって定期的に新しい映像を作ることの意義を理解してる人が作ったんだなあと思わされる。こういったものは当然ノウハウが必要なので、何年も作らないと技術が断絶してしまい後世に伝えられなくなるはずなので。

ただここは原田氏らしく、今まで通りの合戦シーンでは終わらずしっかり新しい映像解釈だったりを入れてきてるのはとても面白かった。その点はぜひ作品を見て欲しい。
シランガナ

シランガナ