せーじ

関ヶ原のせーじのレビュー・感想・評価

関ヶ原(2017年製作の映画)
3.8
109シネマズ木場で鑑賞。
公開3週目の休日の午後の回で、8割くらいの入り。
中高年ばかりかと思いきや、意外にも幅広い年齢層の人々が来ていた。

各所で言われているように「関ヶ原の戦い」のプロセスと経過が、石田三成を中心に超高速かつ高コンテクストで繰り広げられる。実際合戦のシーンは、これだけの大作に相応しい迫力と緊張感にあふれており、十二分に見ごたえがあった。また、三成と豊臣秀吉、大谷吉継、島左近らとの関係性がしっかりと描かれており、彼らの死に方や生き様は、とても胸が熱くなるように演出されていたように思う(島左近の死に方はちょっとどうかとは思ったが)。
東軍側も、徳川家康の人たらしっぷりがとても嫌らしかったし(特に小早川秀秋に対しては凄まじかった)湯浴み後の場面や、母衣を編む場面での人間臭さも深く描かれていたと思う。子飼いの忍びである蛇白を阿茶と名付け、可愛がりつつもいざとなったら容赦なく切り捨てる冷徹さもいい。

それだけに、返す返すも残念だったのは蛇白やヒロインでもある初芽ら、三人の忍び達の存在である。
特に中盤以降の初芽と赤耳の立ち回り方が酷かった。
合戦に対しての諜報活動の重要さを描くのは、やるべきだし素晴らしいことだと思うのだが、特にこの二人に関しては、何がしたいのか、何をどう思ったからそう行動したのかが、ほとんど見えなかったというのが苦しい。架空の人物たちであるからこそ、中途半端に三成と初芽の色恋を描くのではなく、例えば合戦中に初芽が蛇白こと阿茶と対峙するなど、いくらでも「史実の裏で何があったのか展開」を描くことは可能だったのではないだろうか。

とはいえ、最近の戦国時代を描いた映画作品の中では、なかなか面白く出来ていた作品だったように思う。
自分は大河ドラマを斜め見し、高校時代の歴史の成績は中の下、戦国時代の流れはざっとでしか理解していないし、当然本作の原作なんて読んではいないような無知で不勉強な人間だが、それでも何とかついていくことはできた。
後から理解できなかった部分を調べたりするのも面白いだろうし、観た後に詳しい人と話し合うのが楽しい作品なのだと思う。
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