あーさん

関ヶ原のあーさんのネタバレレビュー・内容・結末

関ヶ原(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

1600年 関ヶ原の戦い、、
年号と名前は覚えていても内容を説明せよと言われたら…。

日本史にはやや疎い。歴史的背景を知らないと置いてけぼりだというので、司馬遼太郎の原作を予習するつもりが時間切れ…。
代わりに原作ファンの夫のミニ解説をにわか仕込んで150分強の長丁場、寝落ちがないことを祈りながらいざ、鑑賞!

…結果、何とも言えない熱い気持ちに包まれた自分がいた。。
観て良かった!!


賛否両論なのは、きっと今作がどの層を狙ったものなのか?ということに依るのではないだろうか。
石田三成という一人の男が、戦国時代に終わりを告げる天下分け目の戦いで何を思い、どう動いたのか、そして彼を取り巻く人々の人間模様、、そこに今作の肝があるのではないだろうか。
だから、”関ヶ原”というタイトル
から内容を想像すると、少し違和感を覚えてしまうのでは。。
言ってしまえば今作は関ヶ原の戦い全容というよりは、あくまでも石田三成の心の有り様にスポットが当てられているように思う。

なので私のような、にわか歴史ファンにとっては入門編のような感じであまり引っ掛かりもなくスッと入って来たのだが、逆に原作ファンや戦国時代の歴史に関して一家言ある層からは、物足りない、あるべきエピソードが少なすぎる、イマイチという声を聞いた(確かに後に繋がっていく布石とも言えるエピソードは少なかったのかもしれない)。
知識が無さすぎても置いていかれるかもしれないが、関ヶ原の戦いにまつわる武将の名前やどういう戦いであったのかがざっくりとでも頭に入っていると、十分ついていけると思う(私の場合、大河ドラマの”真田丸”を観ていたのでそれでかなりカバーされた!)。方言がわかりにくいという声もあったが、そこまで聞き取れない感じでもなかった。

更に伊賀者(忍び)の”初芽とのロマンスはいらない”などという声もあったが、私は石田三成という人物の人となりを描くには、初芽の存在は欠かせなかったと思う(初芽の登場の仕方は、原作とは違って些かセンセーショナルではあったが…)。初芽はもちろん実在の人物ではなく原作者司馬遼太郎のフィクションだと思われるが、正義感が強くちょっと堅苦しい男の純愛…というか人間らしい一面が垣間見えて、私は好きだ。。
処刑されかかっていた初芽の命を助けようとする三成に「人間とか女だと思ってくれるな、犬と思ってくれ」と初芽が言い放ってからその後だんだん心を通わせていく所、そして最後の最後に初芽が三成の座右の銘をつぶやくシーンに
涙が溢れた。
志を繋ぐということの尊さ、、
これは恋愛というより生き様を認め合った人間と人間の心の触れ合いだったと私は思う。。

そして、文句無しに素晴らしい演技を見せてくれたキャスト陣。
愚直なまでに正義感に燃える石田三成役の岡田准一、三成の家臣・島左近役の平岳大の凄味のある演技にはグイグイ引き込まれたし、狸親父・徳川家康役の役所広司には本当にイラっとさせられた(それだけ上手いということ!)。
大谷部刑役は誰だろう?と思ったら大場泰正という舞台俳優の方で、佇まいが素敵。終始病を押しての男気溢れる姿、切腹のシーンでは胸が熱くなった。。
小早川秀秋(東出昌大)は武将としては優柔不断で不甲斐なく描かれていたが、私は自分が武将だったら一番近い人物じゃないかと思いながら観た。武士ほど決断力が必要とされるものはないだろう。
しかし、人間臭いこんな武士がいてもおかしくはないと思った。
他にも原田監督の”日本のいちばん長い一日” にも出演していたキャストがちらほら、、戦国の熱い男達を熱く演じた。
直江兼続役の松山ケンイチは今回も他と絡まないキャストで…。
(壇蜜こそいらない??いや、ある一定の層には、いるのかな笑)
有村架純を始めキムラ緑子、伊藤歩、中越典子ら女性陣も頑張っていた。徳川側だが、北村有起哉も好きなので出ていて嬉しかった。

そんな訳で寝落ちの心配はどこへやら、150分を駆け抜けた歴史ドラマは確実に私の心の中に熱いものを残してくれた。。

正義感が人一倍強いが、どこか不器用でトップには決してなれない石田三成。。
私は好きだな〜
司馬遼太郎の描き方、原田監督の見せ方が魅力的なんだと思うけれど。
関連の本を色々読んでみたくなった。

そうだ、その前に『関ヶ原』の上中下巻を読破せねば!!




*歴史通の方からすれば、何もわかっていないレビューだと思いますが、個人的な見解ということでお許し下さい!!
興味を持った今からちゃんと勉強していきたいと思っています。。
あーさん

あーさん