matchypotter

関ヶ原のmatchypotterのレビュー・感想・評価

関ヶ原(2017年製作の映画)
3.4
《“とある”芸能事務所に思いを寄せて》Vol.7

司馬遼太郎原作『関ヶ原』。
岡田准一演じる、石田三成を主人公に天下分け目の大戦の幕が開ける。

2時間半の超大作。
2時間半でもその中身はそれ以上かもしれない。

太閤豊臣秀吉公が石田三成を拾うエピソードから始まり、関ヶ原を経て、享年41歳までの、義を以て正義を貫いた石田の半生を描く。

豊臣に仕え、秀吉なき後も、世の太平を目指し、奔走する。

この作品では敵対する徳川家康の方がしたたかで抜け目のない役柄で、石田三成側に正義を貫く意志を醸し出させてる。

関ヶ原で戦局を変えたと言われる有名な小早川秀秋の謀反も、この作品ではとても小早川秀秋本人にとっても不本意な出来事として描かれる。

それらを含めて石田側西軍の大敗は、紙一重。
その裏側で、長年かけた色々な石田と徳川の駆け引きがあり、お互いに策を巡らせ、粉骨砕身した結果の紙一重。

そんな戦国乱世の世を駆け抜けた2人を中心に、とは言え、とにかく話題がてんこ盛り。

そりゃ関ヶ原の戦を描くので、そこまで辿り着いたいきさつをなるべく全て描こうとする努力が垣間見れる。

豊臣盤石の世から、朝鮮侵攻にも触れ、秀吉公晩年の家臣の中でのいざこざから分裂を経て、、、と。

2時間半で何とかそれを走り切った!という感じ。

つまり、詰め込みまくっているので、展開がものすごくスピーディ。
スピーディ過ぎて、セリフも早口。常に何かに捲し立てられてるかのような早口。

早口で展開も早く、次から次へと事が起きて、たまに「、、、3年後。」みたいな、時すらも一瞬で飛び越したりする。

なかなかの荒技。
ただ、これらを描くためにはもう仕方ないと思う。

そこにさらに、伊賀者の忍びと石田のちょっとした恋模様も挟んできたもんだから、話題に事欠かない。

政治、戦、仲間の絆、そして、“恋”。

そもそも戦国の世なんて、常に忙しない。

登り詰めようとする人からすればそんな激動の中をいかに先を読んで、情報を掴んで、相手の1枚上手を行くことが肝心だとすれば、まさにこの映画はその忙しなさを本当に“忙しなく”描き切ったと思う。

登場人物も多く、でもあんまり説明がなく、この辺の歴史に興味がない人には少し辛い感じはする。

でも、気性の荒いとされる加藤清正とか、石田三成の腹心島左近とか、その辺がかなりフォーカスされてるし、この辺の歴史がそれなりに興味がある人には、この人も!この人も!と歴史に想いを馳せることはできる。

本当に忙しい乱世の世を、忙しく、でもブレずに生き抜いた石田三成の志、ここにあり。
matchypotter

matchypotter