SatoshiFujiwara

愛国女性のSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

愛国女性(1979年製作の映画)
3.3
題名からして『愛国女性』と来た(原題はDie Patriotin)。チラシを見ると歴史教師のガービはドイツ史の教材に疑問を抱き、今日もシャベルを手に「歴史」を掘り起こしに出掛ける、とあるがどんだけガチでリヴィジョニストどもとやり合うのかと思っていたらえらくおとなしくて腰砕けではないか(笑)。これをドイツ人の分裂した心性を表す表象と見ることは単純に過ぎるだろうか。あながち間違ってもいない気がする。映画はガービのフィクション部分と記録映像、絵画、絵本などがコラージュ的に絡み合わされて進行するが、ぶっちゃけ少し寝たせいもあろうがあまり分からん(苦笑)。

ちなみにジーバーベルクの『ヒトラー、あるいはドイツ映画』でもさんざっぱら出て来たハイドンの『皇帝』のメロディ、そして最後に出て来たベートーヴェンの第9が本作にも登場する。多分この2つはドイツ人にとってある意味でアンビバレントな感情を喚起するものなんじゃなかろうか。ネイションステート的、もっと言えば右派的な指向性がドイツに何をもたらしたのか、の象徴たる音楽なんだろう。語弊があるかも知らんが「君が代」ですよ。

クルーゲのやり口は今回アテネ・フランセで2作を観て少し分かったが、もちろんそれは腑に落ちるということではない。日本人だからなのか正直難解である。

※余談だが、俺が観た回には四方田犬彦センセイが普通に客として並んで観に来ていた。感想、と言うか批評を読みたい。
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