小

ゴールド/金塊の行方の小のレビュー・感想・評価

ゴールド/金塊の行方(2016年製作の映画)
3.5
マシュー・マコノヒー約20キロ増量の変身、インドネシア政府が関与する物語のスケール感、大会社との対決、浮き沈みを繰り返す主人公など、面白い要素は結構あるのだけれど、ちょっと微妙な気分。

1990年代に米株式市場を大混乱させた通称「Bre-X事件」をもとにしたクライムサスペンス。鉱山事業に失敗し、破産寸前の金鉱採掘者ケニー・ウェルズが、謎めいた地質学者マイケル・アコスタと組み、誰も見向きもしなかったインドネシアの山奥に巨大金脈を発見するが…。

どん底からの大成功、しかしまた奈落の底へというようなジェットコースターのような展開はなかなかスリリングで面白い。

一方、ケニーの人物関係を見ると、マイケルは苦楽をともにした親友という感じ。恋人のケイともいろいろあるけれど、マイケルの友情はこの物語を支える重要な要素になっている。

この物語を微妙に思う理由は、まず、邦題の「ゴールド 金塊の行方」とかフライヤーの「なぜ170億ドルの金塊が、一晩で消えたのか」というコピーって、どうなのよ?と。

どうなのよ?と思わせるのが狙いだもんね、と言われそうな気もするのだけれど、こうした言葉から感じる“動き”がないから、成功、転落の実感があまり伝わってこず、ちょっと肩透かしみたいな。

それからマシュー・マコノヒーの役作りは確かに凄いのだけれど、彼が演じるケニーはその見た目通り、魅力が乏しい。お人好しで、度胸だけがウリなギャンブル好きの山師という感じで、善悪どちらの面でもカッコよさがない。

だから、例え無一文になろうとも金鉱採掘を続ける彼に「カネじゃないんだ」とか男のロマンを語られても、「ギャンブル依存症の方ですか?」という感じになってしまい、ノリにくい。

もし、人物の面では実際の人物にそっくり似せるようリアリティを追求したということなら、上手く脚色されたこの物語に、その人物が合わなかった、みたいなことになっているような気がするのだけれど、どうなんでしょ。

●物語(50%×4.5):2.25
・ファクツが良いうえ、面白く脚色されているのではないかと。

●演技、演出(30%×2.5):0.75
・物語とミスマッチに感じたけれど…。

●映像、音、音楽(20%×3.0):0.60
・普通…かな。

●お好み減点:-0.1
・邦題、フライヤーのコピー、予告映像もどうかと。ラストは良いと思うけれど、「驚愕のラスト10秒」は確かにサプライズだけれど、ちょっと違う感が。
小