【1000万人のための詩】
石井裕也監督×石橋静河&池松壮亮主演の
最果タヒの詩が原作の作品
〈あらすじ〉
東京の病院で働く看護師の美香。ある日、バイト先のガールズバーで慎二と出会う。アパートで一人暮らしの彼は、建設現場で日雇いとして働く日々。バイトが終わった後、渋谷の雑踏の中で慎二と美香は再会する…。
〈所感〉
池松壮亮目当てで鑑賞。原作基の最果タヒさんの詩集を読んだこともあったので、およそ日常的な使用では用いられない台詞に対してはそこまで違和感なく入ってきて、映像自体も親和性はそれなりに高かったと思う。ただ、やはり詩の良いところは抽象的な点であって、それが実写で語られるとなると、具体性を獲得して途端に陳腐で詰まらないものへと変化してしまうように考える。二人は東京に住んでいるが、その都会の最高密度の青さに対して溶け合わない色、似合わない感じだ。それをお互いが認め合うことで居場所を獲得する的な流れに思えたが、あまり彼ら若者の不安や絶望の正体が飲み込めず、入り込みにくかったように感じる。
「裸族の人は多分ジョギングなんてしない」
「都会を好きになるのは自殺するようなもの」
「東京には1000万人もいるのに何回も会うどうでもいい奇跡」
これらは詩的な台詞で憧れる言い回しだが、
「死ぬまで生きるさ、ざまあみやがれ」
結局日雇い工事のおっちゃんのこの言葉が一番響くよね。死ぬまで生きてみよう。