まぐ

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのまぐのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

せわしない都会をせわしなく映すカメラワークから始まるこの作品。主人公らが持つ都会に対する鬱屈とした感情は冒頭を見るだけでだけで説得力があります。

ストーリーの本筋が追いにくかったので、記憶の整理のためにも自分なりにこういう話だっんじゃないかな、という大雑把な本筋をまとめてみます。

母の自殺(真偽は定かでない)を引きずり、誰かを好きになることを刹那的なくだらないことだと切り捨てている美香と、漠然とした不吉な予感を感じている慎二。
共通の友達である智之の死後、2人の抱える鬱屈とした感情は大きくなっていく。お互いを依り代にしたい気持ちと同時に、美香の過去がわかり、恋愛の入り口にいる自分への戒めのように恋愛を強く否定する。
そんな中、慎二の隣の家の老人が孤独死しているのをみた慎二は、職場の仲間にそれを話すうちに、自分の素直な美香への好意に気づく。真っ直ぐな慎二の好意に美香は心を許していき、2人は恋に落ちる。
恋に落ちてから心の依り代ができた2人は、自分の世界の見方を変え始める。美香は色んなものを許せるようになり、慎二は悪い予感の中に、希望も見いだせるようになった。嫌いだと言っていた東京も、前ほど嫌いではなくなった。

この映画の良いところは、冒頭のマイナス要素が、エンディングで消える訳ではないというリアリティだと思います。大筋を一言で言うと、東京で生きにくい2人は、恋に落ちたところで生きにくさは変わらないけど、1人だった頃に感じることができなかった希望も感じることができるようになる、という話ではないでしょうか。この映画を見たとき、そこのみにて光り輝くを思い出しました。
リアリティの話をすると、携帯を足で撮ったり、枕にタオルを敷いて寝ていたりと、細かい描写も行き届いていてすごくよかったです。

それと、美香がすごく可愛かったです。リボンを付けてるシーン。全く似合ってないけど不恰好さが物凄く愛おしい!
彼氏と自転車二人乗りをする妹をバカにしてた割に最後に自分も同じ乗り方で二人乗りしているのも可愛いです。やってみたかったんかなーと思って見てました。


あとは、画作りがよかったです。特に後半の光の美しい描写。
2人が恋に落ちるまでと落ちてからの差がハッキリしており、視覚的に2人の心情の変化がわかりやすかったです。

正直みてすぐはポカンとなったけど、順を追って考えるとどんどん自分の中で好きになっていきました。このレビュー書いてる時も何点か上がりました笑
まぐ

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