テレザ

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのテレザのレビュー・感想・評価

3.8
この映画のメッセージはこうだ。恋愛であろうとなかろうと、誰かを思う気持ちがなければ、それは生活ではない。
人は利他的になってこそ幸せを感じることができる。誰かの助けになること。誰かを気に留めるだけでも、植物に水をやるだけだっていい。
慎二は部屋の窓際の小さな植物に水をやる。隣の部屋に一人住む老人のためにゴミ出しをして、お返しに本を借りたりして、少し話す。
女は、高所得の看護師という職であるにも関わらず、夜にガールズバーのバイトをする。これは自分の孤独を紛らわすようなためではなく、田舎の父に仕送りする→利他的になることで、殺伐とした「東京」での暮らしで何らかの折り合いをつけているのではないかと思う。誰かと繋がっていないとやりきれいのに、女はいたずらに蔓延るバカみたいな「恋愛」に必要以上に懐疑的で、激しい嫌悪を覚えている。浮かれ顔の妹に、大人げもなく「恋してる女って醜いよ」と言い放つ、悲しき強さ。しかし彼女はわかっている。誰かを心から想っていない、自分のほうがもっと醜いことを。
しかし女は、慎二と出会う。それは誰でもいい。自分にとっての、誰かであれば。だからこれはラブストーリーではない。素朴なヒューマンドラマである。
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