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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だのfonske0114のレビュー・感想・評価

4.5
「きみがかわいそうだと思っているきみ自身を、誰も愛さない間、きみはきっと世界を嫌いでいい。
そしてだからこそ、この星に、恋愛なんてものはない」
文学的な詩から始まるこの映画は都会のネオンや街の灯りなど幻想的な風景を連れて話が続く。都会に生きる孤独な若者の姿の映画、というと簡単になるがもっと奥深く人間関係や生きること、愛を問いかける映画。

毎日を生きることに精一杯で不器用な人たちが主人公。選りすぐられたセリフとキャスト、登場人物のため集中して入り込める。


以下ネタバレ感想を。

日雇い労働や外国人の労働問題、孤独老人など社会問題も含んでいるものの、それよりも人が生きるとはなんなのか、人生の楽しいことや悲しいこととはなんなのかという問いかけに引き込まれる。

この映画を見ていると、恋愛とはなんと純粋で美しく、人を、人生を、生活を彩り変えるのだろうと思わずにいられない。

かの名作トレンディドラマのような熱い恋愛ものも良いが、この映画は人を好きになることがどれほど人に力を与え生活に色を与えるのかが、登場人物の設定により克明に描かれているように感じる。

この映画中のCHE.R.R.Yはとても悲しい胸が痛む曲に聞こえた。

セリフをとっても、
「なんかあった?」
「何かあるでしょ、普通。生きてりゃ」

「ほんとに幸せになれんのかな、ほんとの幸せなんかわかんないのに」

など他の作品で出そうなセリフも一捻りあって深みがある。

加えて、左目が見えない主人公の演出である画面半分の映像や都会、夜景、人混みなど映像が匠でそちらも目が離せない。

「コンビニは便利だな、タバコもお酒も24時間売ってるんだ、恋も売ってるんだって」
とクセの強い池松壮亮がはまり役だったが、話がすすむに連れてそのクセがなくなっていったが、それも「喋ってないと不安」がなくなっていったということだろう。

昨今の作品は説明的なセリフもあるが、この作品はそれも極力削られ、「魅せる」ことで点と点が線になり話が繋がっていったと思う。

「そんなのわかんない」という池松壮亮のセリフも、物語中盤と終盤では意味合いが全く違っていて唸った。
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