atsuki

アイム・ノット・シリアルキラーのatsukiのレビュー・感想・評価

4.1
【始まりへの冒険】

アメリカ中西部にある架空の田舎町クレイトンを舞台に、人を殺したい少年と人を殺してる老人が町で発生する連続殺人事件により、出会い、交わり合い、そして運命が動き出す。

「殺し」という共通点を持った未来ある少年と終わりの近づく老人は、やはり「殺し」という行為によってお近づきになる。

この「始まり」と「終わり」の対比させながら、連続殺人事件にのめり込んで行き、血湧き肉躍った先には何と「愛」が見付かってしまう物語である。

また終盤、つまりは連続殺人事件の真相の部分は、予期せぬツイスト展開を迎える。はたやB級映画になりそうなところも、このスパイスが少年のヒーロー映画よろしくコメディ要素なんかにもなってて面白い。

架空の田舎町という閉鎖的な場所と家業が遺体処理という居心地の悪さと異様な雰囲気が、ファンタジーの様な空気感や肌触りに仕上がっている。その為に「殺人」を扱っているものの、やはり母と子の、妻と夫の、「愛」の形を表現しているから不思議。

背景が多く語られない為に置いてきぼり状態になる場面も多いが、あくまでこれは「始まり」の物語であるので、過去の関係性がどうこうではなく、これから描き、また読み取れば良いのだ。
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