ドント

アイム・ノット・シリアルキラーのドントのレビュー・感想・評価

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2016年。何はともあれ、面白かった。思春期からか連続殺人に魅了され「反社会的性質」と診断された青年が、自身の住む小さな町で起きた猟奇連続殺人にのめり込んで行くが……
予告も観ないままで鑑賞してよかった。これは何も知らない方がいい作品だ。とは言えある程度知っててもたぶん終盤は(略)
行きどまりみたいな、くたびれた雪の田舎町の出来事であり、薄暗くてどんよりと、まとわりつくような場面や風景が展開する。テッド・バンディやジェフリー・ダーマーについてレポートを書いちゃうような、一部の人がかかる「はしか」のようなモノに罹患した青年の心情とこの風景がしっくりくる。
犯人に傾倒するでなく拒否するでなく「気になって」しまう感じ、イケメンなのだが危うげなモノをまとった主人公の顔つき、それと対照的な老いたCロイドのオーラがとてもよい。言ってみれば何かを学んで思春期を卒業する映画であり、好ましく感じてはいるのだけど、どういうつもりでこういう、なんか最後これ、こういうお話にしたのかを問い質したい、小一時間問い質したい、そんな気持ちは残る。月並みな「連続猟奇殺人犯も人間である」な言説から一歩踏み出した意欲作ではあるものの、そっちに行くの?とも思っちゃう作だ。怪作というのはこういうのであろう。
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