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海の旅人たちのadeamのレビュー・感想・評価

海の旅人たち(1953年製作の映画)
2.0
船員組合の依頼を受けた当時まだ20代前半のキューブリックが監督したドキュメンタリー。
ルック誌のカメラマンとしてニューヨークの街並みやそこで暮らす人々をシニカルな視点で切り取っていたキューブリックをしても、組合によっていかに船員たちが恩恵を受けているかを紹介する今作の内容に見どころを見出せてはいない印象ですが、自ら回したカメラワークにはいくつかおもしろいところもあり、カフェテリアでの長回しの横移動撮影にはニヤリとさせられました。
ドキュメンタリーらしからぬ細かめなカット割や、引きと寄りがバランス良くミックスされた編集は退屈な作品にテンポを生み出していたと思います。
被写体をやや上から見下ろすようにとらえたショットが多いのは、演出的意図というよりも、三脚の制限からまだ抜け出せていない青さを感じました。
終盤の議会の場面でようやくトレードマークのシンメトリーな構図が顔を出すものの、全体的には駆け出し時代の単なる雇われ仕事の域を出ていませんでした。
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