囚人13号

十三人の刺客の囚人13号のレビュー・感想・評価

十三人の刺客(1963年製作の映画)
3.8
『七人の侍』から九年後、人数はおよそ二倍だが尺はほぼ半分。タイトルに人数が入る時代劇は他にも『三匹の侍』があるが、人数と尺の最良関係を弾き出すのは結構むつかしい。

これで『七人の侍』の構造をやると八時間くらいになってしまうのだから十三という数は映画とはあまり相性が良くないのかもしれない(しかし『十二人の怒れる男』/『二十四の瞳』の"十二"は何故か最良の関係性を築けているように思える)。
案の定十三人のドラマは広く浅いものとなっているけれども流石にクライマックスは凄かった。

心理戦からの一騎打ちは痺れる。軍隊/権力へ立ち向かう命知らずどもの勇姿は『ワイルドバンチ』のそれだが、やはり刀と槍によって繰り広げられる戦場のような生々しい肉弾戦や細い道に誘い込んで待ち伏せする知能プレーはどこか『七人の侍』と似通ったものがある。

大映スコープで山中貞雄のような縦構図を披露するというのは無理に決まってるが、とにかく戦をほぼ省略なしで見せるこの長丁場は凄い。
決して長すぎることはないのだが、あれだけの数の人間が血まみれになるには短すぎる絶妙な尺にはただならぬリアリズムを感じた。
囚人13号

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