ヒロ

花に嵐のヒロのレビュー・感想・評価

花に嵐(2015年製作の映画)
4.0
いわゆるモキュメンタリー形式で構成されているこの作品でカメラが捉えるのは“映画を撮る”という行為の原点にある好奇心の行く末。映画を撮るために女を用意するのではなく、女を撮っていたらいつの間にか映画になっていた。コインロッカーの前のゲロチューに始まり、女の園潜入大作戦、斬新な車泥棒、いきなり童貞喪失、追っていた現実が瞬時に虚構に切り替わる様は今村昌平『人間蒸発』でのセット解体を彷彿させる、いや褒めすぎた。もはや邦画は終わってるしそんなことは百も承知、だが唯一の光はインディーズにあるということは間違いない。なんでも出来る、リスクも背負い放題、時間も使い放題、社会のはみ出し者が世界をひっくり返すことのできる夢のある世界。テレビやYouTubeに侵された観客の映像に対する倫理観を再構築してやろうぜ、商業に抱かれたい奴はとっとと犯されろ底辺から邦画を蘇らせる、そんな想いを感じた。もはやこれは僕の願いなのかもしれない。邦画はまだ終わってない、そう信じたい。さよならだけが人生、じゃないかもしれない。

《気になる日本映画達 2017》
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