ひでやん

ドリームのひでやんのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.0
NASAの有人宇宙飛行計画を陰で支えた3人の黒人女性を描いた実話ドラマ。

アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年代初頭、能力が充分に発揮できない環境の中で、差別や偏見に苦しみながらも道を切り開き、それぞれの居場所を確保する黒人女性たちの姿が胸を熱くした。

トイレが800メートル先にあれば西へ東へ走り続け、資料が黒塗りされると光に透かしたキャサリン。彼女の苦労は人種分離の看板を叩き壊し、彼女の能力は会議室の扉を開けた。

コンピューターのプログラミングを学んだドロシーは計算係を救い、前例のないエンジニアを目指したメアリーは前例となった。

彼女たちにはプライドがあり熱意がある。揺るぎない心で人種差別や女性差別の壁を乗り越えていく。そんな彼女たちに対して「ドリーム」という邦題は的から外れていると思った。

宇宙開発は白人の夢でも黒人の夢でもなくNASAの夢。人種や性別など関係なく平等に実力を認め合い、一致団結したワンチームが彼女たちの願いだったと思う。

テーマは重いが、力強い人間ドラマの中に心温まる恋愛劇や軽快な音楽がバランス良く挿入され、ポジティブな気持ちにさせてくれた。

能力がある者には、その能力を充分に発揮できる環境が必要で、その環境を作ったケヴィン・コスナーは存在感があり好演。そして再婚相手のジムを演じたマハーシャラ・アリの優しい目に心が和んだ。
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