さく

ドリームのさくのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.0
ど真ん中ド直球の名作といった感じでした。実話を元にしながらも、ドキュメンタリータッチではなく、きちんと映画的な表現に満ちあふれているので、映画を見る楽しさみたいなのを十分に味あわせてくれます。なのに4点なのは、これはもう個人的な趣味の問題です…

ここからネタバレも含みます。

ケビン・コスナー演じる「本部長」がとにかく男前。巨大なIBM機が納品される際に、事務所の入り口を通らないと見るや、「物理的に」壁をぶち壊すという緻密な数学者とは思えぬ豪快さ。これが後には「非白人用トイレ」の看板も「物理的に」ぶち壊し(痛快!)、引いては、差別という壁をもぶち壊し、社内ルールや習慣やら何でもかんでもぶち壊す。この辺りの彼の人間性を「事務所の壁をぶち壊す」という表現で前もって提示してきたのは、ベタかもしれないけれど、映画的表現として凄く上手い。

後はもう言うまでもなく、主役の三人が三者三様に才能を発揮して、差別という壁に負けずに成り上がっていく様は痛快そのものです。

あとは、これはもう難癖に近いと思いますが、(事実だから仕方ありませんが)あまりにも三人ともに才能に恵まれすぎていて、痛快感と共に、どこか三人の才能に対する嫉妬心みたいなのも同時に湧いてきてしまって、心の底から「やった!」みたいになれなかったのが私的−1点でした。

「やっぱりボンクラが成長してちょっとだけ成功をつかむみたいな話とか、頑張ったけどダメだっだよ…みたいな話の方が乗れるよね…」というだけのことです。

特に、若い人や小さい子供にオススメするには最適な映画ではないかと思います。私のように汚れた大人も、たまにはこういう真っ直ぐで綺麗な名作を観て、心を洗い直す必要もあるかと思います。
さく

さく