「NASAは何色でもない!」
久しぶりのケヴィン・コスナー。しかもとっても良い役です。
パイオニアたちのエピソードほど興味をそそられるものはないと思う。黎明期において、試行錯誤して不可能だと思われたことを着実に一歩一歩実現させていく過程が面白い。
公民権運動のさなか、人間を宇宙に送るマーキュリー計画に関わった3人の黒人女性(タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ)たちの奮闘を描いた作品。
黒人と白人とでトイレが違うとか、白人でなければ管理職になれないとか、3人の前には数々の障害が立ちはだかる。
元々、頭脳明晰な彼女たちは差別や偏見は何のその、それぞれの才能を発揮して周囲の白人たちから一目置かれるようになる。
この映画を観ると、あのNASAでさえこの時代は人種差別があったんだなぁと思ってしまう。
しかし、Wikiでも指摘されているけど、実際はNASA改組時からすでに差別的な施設は撤廃されていたり、彼女たちが苦労してポジションを獲得しているが、すでにマーキュリー計画時には管理職に就いていたりと、この辺りは史実とかなり違うそうな。
観客にわかりやすいように設定を色々変えたんだろうけど、人種差別が背景にある映画ならば、そこは後世の人が誤解しないように史実にそって作って欲しかった。
そして、マーキュリー計画の責任者役を演じたケビン・コスナー。すっかりおじさんになったけど、“ゲーリー・クーパーの再来”と言われただけあって、この人の顔には品がある。
あと主人公たちのお局的な上司をキルスティン・ダンストが演じている。
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」や「チアーズ!」「スパイダーマン」とかの印象が強いからこういう役回りを演じるような年齢になったかぁ……という感がある。
でもいかにもお局様って顔なんだよね(苦笑)。
さて、日本語タイトルは皆様ご承知の通り、マーキュリー計画が題材なのに「ドリーム 私たちのアポロ計画」をつけて大騒ぎになり、あわてて「ドリーム」に変更になったという経緯がある。
そもそもこのタイトルだって、どうせキング牧師の演説からとったものだろうし、邦題ってこんな適当に付けていいものだろうかと悲しくなってくる。
■映画DATA==========================
監督:セオドア・メルフィ
脚本:アリソン・シュローダー/セオドア・メルフィ
製作:ドナ・ジグリオッティほか
音楽:ハンス・ジマーほか
撮影:マンディ・ウォーカー
公開:2016年12月25日(米)/2017年9月29日(日)