うめ

ドリームのうめのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.3
【ドリーム】
何でこんな邦題を?
そんな違和感を観る前には感じていました。
【hidden figures】
Wミーニングが効いた粋なタイトルなのにと。
観終わった今。
これはこれで良かったのかもしれないと思っています。

1960年代のアメリカ。
国が人種差別の廃止を決めても、州の力が強いがゆえに進まない。
それは、NASAとて例外ではない。

類まれな計算力と明晰な頭脳のキャサリン。

親譲りの機械の知識と強力なリーダーシップを併せ持つドロシー。

突き進むバイタリティーと溢れる好奇心で技術者を目指すメアリー。

それぞれが素晴らしい能力がありながら、認めてもらえない。
特別な存在になりたいわけじゃない。
ただ、当たり前に働き正当に評価されたい。
他の白人のみんなのように。
ドリームを抱え、挫けずに前へと進もうとする3人。
その思いは周囲の人達に少しずつ影響を与え始める。

責任者であるケビン・コスナー。
最近、良い意味で枯れた味わいを見せている。
宇宙に人を送る、無事に帰らせる。
彼のドリーム。
その為なら妥協なんてしない。
シンプルに信念を貫く。

州の警察官として赴任してくるマハーシャラ・アリ。
心を奪われた女性と共に生きたい。
そんなドリームを愚直に追う。

宇宙飛行士ジョン・グレンを演じるグレン・パウエル。
純粋に宇宙に行くというドリームを持つ彼だからこそ分かる。
真っ直ぐに生きようとする人が…

そして、最初は認めようとしないNASAの同僚達。

黒人で、そのうえ女性。
分かっているのに、エリートのプライドから認められないポール。

同性であっても、なかなか理解してくれない。
そんな上司ミッチェル。
演じるキルスティン・ダンストがハマり役。
仕事は出来るが、心の体温が低そうな女性が似合う。

しかし、そんな彼等も「宇宙へ」というドリームは同じなんだ。
分かり合えない筈はない。

それは、敵対しているソ連も変わらない。
政治家や軍人の思惑があったとしても、実際に飛ぶ人間の思いは一緒だと思う。
宇宙に行ってみたいというドリームは。


シリアスな展開を和らげ、ポジティブな空気を感じさせるのに一役買っているのが…
ファレル・ウィリアムズの音楽!
やはり、彼は只者じゃない。
センスの良さを改めて再認識。
キャチーなメロディで盛り上げてくれる。


実話ベースとはいえ、おそらくそれなりのドラマティックな演出はされているんでしょうが…
彼女達の気持ちは間違いなく何かを変えた。
それは真実だ。
重いテーマを含みながら、しっかりとエンタメとしても楽しめる見事な傑作でした。