YokoGoto

ドリームのYokoGotoのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
3.7
ー実に爽快!後味 バツグン!!ー

私は『差別はいけない』という人の言葉を、あまり信用していない。差別はいけないという時点で差別の存在を肯定しているから。本当に差別という意識を持っていない人はそんな存在すらも意識しない。

そう、それは物心付きはじめたばかりくらいの年の頃の幼子のように、透明でピュアな価値観をもちえる人だ。
しかし、そんな大人はどれほどいるだろうか?

様々な情報にふれ、様々な価値観に触れていくたびに、人は差別というものを『学んで』いく。そんな残酷な生き物、それが人間である。

私は、『差別』と聞くと小学校の低学年の頃の、ある記憶を思い出す。
小学校低学年の頃の記憶など、ほとんどないのに、それだけはしっかり記憶している。小学校低学年だと思ったのは、背負ったランドセルが重く感じた記憶も残っていることと、小学校からの帰り道が、とてつもなく遠く感じた記憶もあるからだ。

その頃、仲の良いお友達と一緒に帰る帰り道、お友達と、無邪気に何も考えず、ある女の子を茶化す言葉を投げかけてしまった。強い悪意はなく、軽い気持ちでなじったのに、それを聞いていた女の子の母親が、ものすごい剣幕で私達を怒鳴りつけた。

その事が、ものすごくショックだったのを思い出す。
はっきりとした言葉は覚えていないが、おそらく差別的な言葉を言ったと思う。小さな頃の、無邪気な言葉だったのに、すごく驚いた。

そして、そんな事を言うと、本人以外の誰かも傷つくんだ。当の本人の言葉を代弁した、彼女の母親の言葉に教えてもらった記憶が鮮明に残っている。

それ以降、他人に対して、そんな言葉を言った記憶がない。
あの時、叱ってもらって本当に良かったと心から思う。

さてさて、前置きが長くなったが、本作『ドリーム』は人種差別と女性差別の強かった時代に活躍した、黒人女性3人のお話である。
黒人専用のクラス、黒人専用のトイレ等、白人と黒人は同列に扱われなかった頃、鉛筆1本で立場を認めさせたサクセス・ストーリー。

時代背景はあるものの、あからさまな差別体質を見せつけられると気分の良いものではない。しかし、そんな彼女らの境遇を180度かえた、人間の力。すばらしいとしかいいようがない。

観終わった後、気分爽快!
晴れ晴れとした気分になる。

しかし、彼女らの力を発揮できたのは、たった一人の白人の理解者であったという点がかっこよすぎるが(笑)。まぁまぁ、それも人種間を超えた理解という事で納得しよう。

さて、話を冒頭に戻そう。
日本には差別などない、などと軽はずみに言えない。きっと、自分の意識していない所で差別をしているかもしれないし、そういう素質をもっている生き物が人間だから。

おごることなく、いつも謙虚に自分の心を見つめる冷静な心。
何かを阻んでいるのは、ちっぽけな自分の尺度でしかみられない偏見かもしれないと、いつも心に刻もうと思って生きている。
YokoGoto

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