ハル

ドリームのハルのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
3.5
1960年代のアメリカでは、白人と黒人を同じ人間として扱っていなかった。高等教育はもちろんのこと、トイレや飲水の利用においてさえも、公然と差別が行われていた。同じ人間ではないのだから区別するのは当たり前という認識が、当時のアメリカンピーポーの心にあったのだと思われる。

それはアメリカを代表する国家機関・NASAにおいても例外ではなかった。同機関に所属する3人の黒人女性は、その聡明さにおいて白人職員を圧倒的に凌ぐ能力を持ちながら、肌の色が黒いという点において不当に扱われる立場にあった。しかしながら、そんな彼らの陰ながらの努力と貢献があったればこそ、アメリカは宇宙船の有人飛行に成功し、人類初の月面着陸という偉業を成し遂げることができたのである。

そのような物語に対して、ドリームというタイトルは、あまりにも陳腐に過ぎるし、センスの欠片もない。

もっとも、この作品は、働く人間を応援するという点において、見る者に元気を与えるような印象がある。その点では「ドリーム」でも全然かまわないと思うのだが、私はその行間に近頃流行りの「反省するアメリカ人」を垣間見たので、原題の「hidden figure」(隠された人物)こそに大きな意味があるのではと思った。

アメリカはソ連との宇宙開発競争において大きく遅れを取りました。この状況を打開するため国家を挙げて努力し、有人飛行、そして、人類初の月面着陸という偉業を成し遂げました。その背景には3人の聡明な黒人女性たちの支えがありました。最近までそのことを隠していました。ごめんなさい。

それだけのメッセージを伝えるためにこの映画が作られたのではないかと思ったものである。


ベトナム戦争は間違いでした、ごめんなさい。

黒人を差別していたのは間違いでした、ごめんなさい。

イラク戦争は間違いでした、ごめんなさい。

アメリカ人が映画とかを通して反省するのを見ていると、実に滑稽で、うっとうしくて、哀しくなってくる。

この作品も例外ではなかった。

感動こそしたけれど、どこか冷めた目で見ているひねくれ者の私がいた。