Yoko

ドリームのYokoのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
3.3
NASAに勤務している”キャサリン”、”ドロシー”、”メアリー”の三人は通勤中、車の思わぬ故障で足止めを食らってしまった。
そこに一台のパトカーがやってきて…。

白人中心の社会でいかに黒人女性が苦労してきたか、その状況にいかに三人は立ち向かっていったかということは十二分に伝わってきた。
私たちの知らない歴史の背後で奮闘し活躍していたHidden Figures。
自分が同じ環境にいたらと想像すると、今作の人物ほど勇敢になれるとは思えず、この人たちの偉大さをおのずと感じてしまう。
受け手としては明らかな差別であるにも関わらず、当人にとっては差別という意識すらない時代。
それを諫めるドロシーの知的な言い回しや、ケビンコスナー演じる上司の進歩的なアクションには思わず溜飲が下がる場面も。


ただ、こうしたメッセージの伝え方が露骨で執拗だったことが今作を好きになれない理由として大きい。
主人公ら黒人女性が映画のような不遇な扱いをされていたのはほぼ事実なのであろうが、展開が進んでも何度も挿入される似たような演出にくどさを感じる。
今作のテーマがテーマなだけにそれを強調せざるを得ないのは分かるが、このくどさのために三人それぞれのキャラが思ったほど発揮されず、三人とも「不遇な環境で頑張る黒人女性」という一緒くたな印象を抱いてしまった。
ジェンダーや人種に端を発する悩みや問題ばかりに直面する主人公たちに、個々のキャラクターを見出すことが難しい。
その中でもメアリーの役どころは一番キャラ立ちしていたように思うが、メインのキャサリンにはキャサリン本人の魅力をほとんど感じられない。そのうえ、話の展開も一本調子であるためにどうにも身を乗り出したくなるような気分も味わえない。
事実に即した映画であるために展開の一本調子は致し方ないのかもしれないが、にしても少しは捻りが欲しいとこではある。

歴史の影で奮闘した人々を知るきっかけの「伝記映画」としては、当時の社会の勉強にもなるしタメになる作品。
では「映画」としてはどうかという話になると、手放しに良かったとはいえない作品。
メッセージ性「だけ」しかない映画に強い魅力は感じられなかった。