yksijoki

ドリームのyksijokiのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.0
一歩先を読み、動く力。我々がIBMに勝つにはこれが必要だなぁと思った。

原題Hidden Figuresの意味するところのように偉業の裏には我々の想像つかないような努力や苦労が隠れている。有人宇宙飛行という前例のない偉業だからこそこの映画の中の3人の女性も前例の無いことに真っ向から立ち向かっていく。

「前例がない?作ればいいじゃない」
「そんなルールは誰が決めたのですか」
そういった気概をセリフからだけではなく彼女たちの表情から感じられるところがすごく魅力的に映った。

最初のエンストのシーンを観た感じでちょっとコメディチックな作品なのかなと思うのだけれどこの3人はホントに真面目。我慢の限界まで自らの感情をグッと堪えるし、ひたむきさがある。当時、黒人は人種差別に対して「闘わないことで闘う」、「拳を振り上げずにどう闘うか」というとこの難しさと葛藤に苦しめられていた。そのなかでスマートかつ力強い闘い方をする3人に心揺さぶられた。

特に良かったのは白人専用の高校への特例を求めた嘆願書をだしたメアリーが判事に語りかけるセリフ。「最初に宇宙に行くことが前例の無いことであるように、黒人女性ではじめてのNASA技術者になるためには私も前例にならなければいけない」

人種差別もテーマになっている中でトイレが肌の色で分かれている事に対する本部長の「NASAでは小便の色はみんな同じ」というセリフとあのアクションの行動力。グッと来たしあれが管理職のすべきことだと思った。

あと「私が差別や偏見を持っているわけじゃないのよ」という言葉に対してのドロシーの「あなたがそれが真実だと思っている事は分かっています」というセリフ。差別や偏見は結局当人たちがどう感じるかなんだよね。LGBTに対しても、女性の社会進出に対しても言えること。私はそういうつもりではない!と主張しても当人がそう受け取った時点でそれは差別であり偏見になる。だからこそ行動や言葉で示す必要があるんだと思う。

要所でのファレルの音楽もノリノリでパーフェクトだった。伏線的なシーンの使い方も素晴らしい。。チョークとかメガネとか真珠とかコーヒーとか名前の呼び方とかとかとかとか。

そっかメアリーはジャネールモネイか!
新作聴いてるよ!!素晴らしい!!
yksijoki

yksijoki