おーたむ

ドリームのおーたむのレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
4.5
あんまりにもあんまりな邦題の付け方で話題になったこの作品を初鑑賞。
この地味な原題ではアピール力に欠けるという判断も、分からなくはないですけど、さすがにちょっとねえ。
それはさておき、面白い作品でした。

完全に個人の嗜好ですが、私はどうも、宇宙もの、宇宙開発ものに弱いです。
本作で描かれるのは「ロケットを打ち上げる側」で、起動計算なんて作業が必要なんだということを初めて知ったりもしましたが、そういう「縁の下」の話であっても、やはりわくわくします。
宇宙って、ロマンだなぁと感じます。

本作ではその物語に、人種差別や性差別といったテーマを織り込み、より多くの見どころを作り出していました。
まあ、差別や偏見のなか、自らの実力をもって自らの地位を獲得していくという筋立ては、定番と言えば定番です。
ただ、本作は、黒人女性の地位向上の他に、アトラスの打ち上げ成功という達成すべき目標が存在しているので、プロジェクト達成型のサクセスストーリーとしての面白さが二重になってる感じがして、上手かったと思います。

キャラクターでは、オクタヴィア・スペンサーが演じたドロシーが好きでした。
主張すべきことは主張する、機会への嗅覚がある、そのための準備を怠らない、仲間を見捨てない、自身の仕事やルーツに誇りを持っている。
自分で管理職向きだと話していましたが、たしかにこういうリーダーのもとでなら働きたいと思わせる人物でした。
本作では、こういう感じで、登場人物のキャラクターが立っていて、物語に入りやすかったですね。
白人のキャラクターの方は、定型的すぎるかなとも思いましたが。

まとめると、2つの目標に対して進行するサクセスストーリーを、分かりやすいキャラクターが分かりやすく見せてくれる、手堅く面白い作品でした。
実際のNASAはもう少し進歩的だったようですが、こういうのに似たことはあったんだろうなと思わせる力が備わっている作品だったと思います。
いわゆる、「誰にでもオススメできる良作」ですね。良かったです。
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