MasaichiYaguchi

レッド・スパローのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

レッド・スパロー(2017年製作の映画)
3.8
元CIA局員ジェイソン・マシューズの同名小説を「ハンガー・ゲーム」シリーズのフランシス・ローレンス監督がジェニファー・ローレンス主演で映画化したスパイサスペンスは、カーアクション、銃撃戦や肉弾戦てんこ盛りの昨今のスパイ物とは一線を画していて、真綿で首を絞めるようにジワジワと緊張感が高まっていく。
ヒロインのドミニカは才能あるロシアのバレリーナだったが、不幸な事故でその将来や収入の道が断たれ、治療や世話が必要な病身の母を抱えている為、スパイというイリーガルで修羅の道を歩み出す。
タイトルになっている「スパロー」は色仕掛けや心理操作で情報を入手するスパイのことを指していて、彼女は「スパロー」になるべく特殊な学校で厳しく鍛えられていく。
この学校での訓練が如何にもという感じなのだが、それが後の展開で活きてくる。
やがて頭角をあらわした彼女に課せられたミッションは、ロシア情報庁上層部にいる裏切者の名を炙り出すというもの。
その為に彼女はCIA捜査官ナッシュにアプローチしていくのだが…
ハードボイルドタッチな本作は、エグい拷問シーンやセクシーなハニートラップシーンが結構出てくるのだが、正にそれらを体を張ってジェニファー・ローレンスが演じている。
オスカー女優が体当たりの演技をしている本作では、ジョエル・エドガートン、ジェレミー・アイアンズ、シャーロット・ランプリング、マティアス・スーナールツという演技巧者なキャストたちによって最後まで緊張の糸が途切れないストーリーが展開する。
このピーンと張り詰めたドラマには幾つもの伏線が有り、それが最後の大どんでん返しに繋がっていきます。