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レッド・スパローのJIZEのレビュー・感想・評価

レッド・スパロー(2017年製作の映画)
3.8
名門バレエ団の元トップダンサーにしてロシアの諜報員"ドミニカ・エゴロワ"が心理操作を武器に内通者を探し出す過程で米国とロシアの両国から追われる瀕死の全貌を描いた女スパイ映画‼作品内の意味で咀嚼すればスパローは要約で"高級娼婦"。冒頭で主人公が自室のベッド上でジッと目を閉じながらあぐらをかき静観な一幕が映し出され日常が動き出す。ある場面で同部屋のそのシーンがもう一度オーバーラップする意図を汲めば内側から外側へ旅立つ女性の成長物語の要素が幾分に盛り込まれていた。総じて主演ジェニファー・ローレンスの新境地開拓という手触りだ。原題の「Red Sparrow」は隠語で"ロシアの女諜報員"。赤色は"革命の象徴"で主人公ドミニカの立場に被せた由来へ帰因する。作品を要約すると"自分が属する背景より遥かに大きな権力に操られる女性の話"だ。作品の前半では女スパイとなる養成機関での"学び"が刺激的な作法に乗っ取り妖艶かつ聡明に展開され作品の後半ではロシアと米国から命を追われた主人公の恐るべき顛末が描かれる。身体を張ったジェニファーの濡れ場シーンの数々や騙し騙されの機転など国家規模を背景に複雑な関係が浮かび上がる銃撃戦や肉弾戦を抑え目に配したスパイものである。複雑さがインフレ化する過程に趣を置いてるためマクロ規模で諜報機関の潮流の行方を楽しむような作品であった。

→総評(異色のブロンド女性が身に付けた大義)。
ジェニファーが過酷な養成機関で学んだ色欲を武器に人間の深層心理を突くよう人を罠にかけたり誘惑などターゲットの素性を肉感的な挑発行為で性的に喜ばせるハニートラップの場面はぜんぶ映えていたように感じる。特に序盤でドミニカが富豪に犯される場面は諸にセクシャリティが出され印象的だった。ゆいいつの不満はここぞというドでかい山場がストーリー内にない点や善と悪の構図が終盤までかなり掴み難い箇所に思える。はたまた中盤以降での「ロミオとジュリエット」風の禁欲的な掟をやぶる恋愛要素もこの作品には望んでいなかったため各要素がいろいろ飽和しすぎて大渋滞を起こしていた。病気の母親に治療のくだりも背景の継ぎ足しがやや不足している。主にロシア版「峰不二子」という呼び声も高く続編の意欲的な讚美など可能性しだいでは新境地を生み出す新たなジャンル開拓への試験作というところだろうか。フランシス・ローレンス監督とジェニファーの組み合わせでも「ハンガー・ゲーム」シリーズ三部作を思い起こさせずにはいられず根底には"孤独な女性が過酷な訓練に絶え世界の潮流に呑まれながらも成長をする"共通項が垣間見えた事は再タッグの成果を実感させられる。昨年に観たほぼ同じ系譜を取る「アトミックブロンド」や作品内の雰囲気が似た「女神の見えざる手」など女最強ものジャンルに新たな風穴を撃ち込んだ重厚で聡明さを兼ね備える複雑なスパイ映画でした。前に観た不審な訪問者に追い出てられる人妻を演じた「マザー」の超怪演に引き続き近年でモンスター女優に成長したジェニファーの芝居の底力をお勧めします‼!