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レッド・スパローのYuのレビュー・感想・評価

レッド・スパロー(2017年製作の映画)
4.1

久しぶりの本格的なスパイものですごく面白かった!
たまたまタイミング合ったのが日比谷での初IMAXとなり、入場した瞬間、スクリーンの小ささに少しがっかりしたけど、いざ始まると最新設備のイマーシブ・サウンドの効果からか真後ろからも聴こえてくる音に完全に包まれ没入感がハンパなかった。

スパイ映画で大好きな作品の1つが今は亡きトニースコット監督の「スパイゲーム」。
ロバート・レッドフォードとブラピの師弟愛は何度観ても心震えて、とてつもなく格好いい。

今作ではそんな師弟関係は全くなく、利用する者と利用される者しか存在しない。
いかに相手の弱みを握り、意のままに動かすか。そして弱みが無ければ作ればいいと。

冒頭から2つのシーンが交差する。
一方でアメリカとロシアの緊迫状態を露呈しつつ、他方では1人のバレリーナが闇へと落ちる。
守られた者と守られなかった者。どちらもが利用価値として共存しているという、今作の本質をわずか10分足らずで表現したとてもうまい脚本と演出だ。

スパローとして育てられる施設の中では、®️18ではないかと疑いたくなる露出が見所になっていたが、派遣されてからが俄然面白い。アクション任せにするわけでなく、言葉と場面転換で何を信じて何を利用するかを巧みに描いていく。

「アトミックブロンド」とは目指しているものが違うので比較するものではないが、心理戦という意味では拷問シーンも効いていて、見事に完成された脚本だ。

それらを眼を見張る程の演技でやり遂げたジェニファーローレンスには驚きが隠せない。「マザー!」でも抜群の存在感だったが、わずか27歳にしてハリウッドを代表する大女優になったと言っても言い過ぎではないだろう。

監督が、ハンガーゲームからの縁があったとはいえ、ライバルを寄せ付けないトップバレリーナになんて見えるわけがないあのムチムチジェニファーを、全く気にせず起用したのもうなづける。

ちなみにシャーロットランプリングも二重スパイでは?と思ったのは自分だけだろうかw
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