バレリーナからスパイへと転落していくロシア人女性の心理戦をメインとした暗躍を描いたサスペンス。
派手なアクションこそ無いものも、生身の人間が国の威信や自身の生死を賭して見せる駆け引きは圧巻。
ジェニファー・ローレンス扮するドミニカがいくつもの窮地に追い込まれながらも、謎の思惑でひたすら二つの国を裏切る展開が繰り広げられる。
前半のスパイが出来上がるまで、その過程は生々しくも常軌を脱しており、日常の平穏な論理感は見事に打ち砕かれる。
月並みではあるが、想像を遥かに超えるラストに国家のスパイとしての正義と反撃を見た。あまりにも現代的な解釈として。