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レッド・スパローのkouのレビュー・感想・評価

レッド・スパロー(2017年製作の映画)
4.0
《最後まで奪われなかったもの》
ジェニファー・ローレンスの持つ妖艶さと面構え。女スパイ物映画が最近の記憶では「アトミック・ブロンド」などがあるが、やはりまずは女優の存在感に焦点が当たるだろう。そういう意味では今作は間違いなくジェニファー・ローレンスの魅力を切り取っていると思うし、彼女自身の今作に賭ける気合も感じることができる作品になっている。

「アトミック・ブロンド」のような派手さはなく、渋い作品であり、主人公はアクションというよりも女性としての魅力を武器にスパイ活動をしていく。冒頭から常に騙され続ける展開が続き、終盤は何が真実なのか、そして主人公の決意さえも裏切られる形にすすんでいく。その振り回される感覚が面白かった。

また、主人公が次第に自分の属する政府に対して反抗をする展開から、彼女自身の強さを持ち始める。それは力強く、観ていて顔つきすら変わっていくさまが見える。彼女がスパイの養成校で最後まで奪われることを拒否したものとは何なのか。そしてそれを彼女は奪い返すのだ。ミステリー小説のようでもあり、サスペンスフル。何よりもジェニファー・ローレンスのファンなら必見の作品だ。
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