予告ではさほど期待値が上がらなかったのだが、良い意味で裏切られて面白かった。相手を惑わす女スパイの話だが、観客をも騙すトリック満載の作りが見事。主演のジェニファー・ローレンスの凄みが出ていて圧倒される。女を使って対象を支配する術には美しさと同時にぞっとする怖さも兼ね備えている。まだ若いながらもすでにハリウッドで確かな地位を獲得している彼女自身と重なるキャラクターだった。魅力だけでなく、知的で力強い所がぴったり。アメリカでなくてロシアのスパイというのがありきたりでない所も良い。ロシアならではの怖さが存分に表現されていて、心臓の弱い人にはオススメ出来ないかも。ショッキングな描写が満載である。しかしそれを上回る知的さでうならせる作品となっている。余談だが、『リリーのすべて』に出演しているマティアス・スーナールツが作品の鍵を握るロシアの人間として出ているのだが、やっぱりプーチンを連想させちゃいますね(笑)。
