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ユニコーン・ストアのJIZEのレビュー・感想・評価

ユニコーン・ストア(2017年製作の映画)
3.6
アートの道を諦め平凡な仕事に落ち着いた元画家の卵が謎の商人からの案内状で偶然立ち寄ったお店で一人前の大人になれば子どもの頃の夢だったユニコーンを手に入れられるという結末を描いた前向き系コメディ映画‼︎まずブリー・ラーソンとサミュエル・L・ジャクソンの稀代な競演から最近みた『キャプテン・マーベル(2019年)』を想起させずにはいられない。多かれ少なかれ"ジブンの内面に閉ざされた意思や原動力が何かの拍子で開眼する"という立場では両者ともに共通するメタな見方をしてしまった。また"他人に邪魔されずにジブンがすきな事を諦めず仲間と団結してユメを追求し続ける"という前向きな姿勢では『ブリグズビー・ベア(2018年)』を彷彿とさせる群像劇の温度感でもあった。いわゆる本作の主人公が本当に欲しかったのはユニコーンって生き物ではなく精通した深い理解者だというコト。自分を愛してくれる類い稀なき理解者を得るためには人を愛せる人間や人とわかりあおうとできる人間にならなければならない。語り口そのものはだいぶ普遍的ながらもメッセージ性に爽やかな清涼感を保たせ今まさに出会いの時期とも云える春に観るべき抜けが効いた大人向け青春映画だったように思える。全編は大人のくすぶった内的成長をベースに課しつつも一風変わったファンタジック寄りの浮いた雰囲気を醸す映画である。いわば一人前の大人となる一歩手前で苦しみもがき続ける等身大の女性を主演ラーソンが熱演している。深く考えず春映画としてもお手軽に四季を感じとれる爽やかな映画でした。
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