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ユニコーン・ストアのmaverickのレビュー・感想・評価

ユニコーン・ストア(2017年製作の映画)
4.0
『キャプテン・マーベル』のブリー・ラーソンとサミュエル・L・ジャクソンが共演。タイムリーすぎて、もうこれだけで話題性十分(笑)。なお、本作はブリー・ラーソンの長編映画監督デビュー作でもある。29歳でこの才能なのだから恐れ入る。彼女は小さい頃から女優としてのキャリアを積んではいるが、注目されるきっかけになった『ショート・ターム』、ブレイクした『ルーム』も含め、インディーズ系な雰囲気の作品で自身の持ち味を発揮してきた女優だった。本作はそんな彼女にぴったりな作品性で、小規模ながらも非常に個性に溢れている。まずタイトルからして個性的。その名の通りユニコーンが話の中心になっていて、全編を通して色彩がユニコーン色。こういう派手な色使いのぬいぐるみとか洋服あるよねって物がたくさん登場し、それだけで童心に帰るような気持ちにさせてくれる。ブリー・ラーソン演じる主人公は、空想の動物であるユニコーンが小さい頃から憧れの存在。自身の表現力を生かして画家を目指すものの、その奇抜な発想力が世間には受け入れられずに人生から落伍してしまっている。両親からは心配されるものの、生きる気力も奪われて何も手につかない日々。一念発起して人材派遣会社で働くことにするがそれは本心ではなく、それこそが当たり前の生き方だと自分に嘘をついているのだった。そこで登場するのがユニコーンストア。この摩訶不思議な出来事と現実世界との狭間で主人公は自身の生き方を試される。自分らしく生きるか否か、それこそが本作のテーマ。ユニコーンの存在が、なるほどなと思わせる作品性である。人と違うということは時として差別の対象となり、本人には不安や劣等感を感じさせるものになる。でもそれが、他の人にはない自分らしさであるということなのかもしれない。自分らしく生きるということが声高に叫ばれる時代。もっともっとそうなるべきだと自分も思う。心に響く作品だった。
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