真田ピロシキ

ウエストワールドの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

ウエストワールド(1973年製作の映画)
4.0
HBOのドラマ版S1が大変に面白かったので70年代の映画版も鑑賞。言っても時代が時代であるし尺も短いのでどうせB級然としたSF映画だろうと思っていたがなかなかどうして。

細かい人物描写がされていなくても、ロボットが接待する悪趣味テーマパークという舞台設定は掴みでバッチリ。客に殺されるために挑発してくる酒場の悪漢ロボット。主人公同様にまたお前かよと思った頃に牙を剥く。これが人間らしさを持ったアンドロイドではなくて、如何にも狂ったロボット風なのが対話を通じさせない恐ろしさ。ドラマ版だと情に訴えれば見逃してくれるかもと思えるじゃん?追い詰められた地下制御施設の無機質さと中世セットのアンバランスさも恐怖感に良いアクセント。ターミネーターやプレデターのような後世の映画への影響を思わせる描写もあり、SF好きなら楽しめるんじゃないかと。説明はしすぎなければいけないという訳じゃない。こう言ったジャンル映画では特に。長々とされても興醒めしかねない諸刃の剣である。

酒場の乱闘シーンはコメディめいている。音楽が完全にね。これもその時はまだゲーム感覚だったことを踏まえると面白い演出。締めがまた意地の悪さを感じさせて苦笑いさせてくれる。