げかやま

ANTIPORNO アンチポルノのげかやまのネタバレレビュー・内容・結末

ANTIPORNO アンチポルノ(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

締め切りの都合でこれを見る前にレポートを書かなくてはならなかったのが残念でならない。素晴らしい。

「今、ポルノを撮る必然性はないと思い最初は断ったんですが、でも日活さんから『必然性がないことを映画にしたら』と言われ、『ANTIPORNO』になりました」「ロマンポルノが作られていた時代と今は違う。センチメンタルな意味でのポルノは壊滅した。そんな中で女性の裸がどのように消費されるか、女性の権利と自由とは何かを考えて撮りました」という完成報告会見での発言に納得。インターネットを探せばいくらでも過激なポルノコンテンツが見つかる今の時代に、AVでも濡れ場のある普通の映画でもなくロマンポルノを撮ることに意味があるとすればこういうことだろうというのがはっきりと示されている。

セックスシーンはあるが演技であって実際にしているわけではないというロマンポルノの歴史的な特性が、「処女なのに売女」という主人公のキャラクターや現実と虚構が入り混じる構成によって、ねじれとして引き受けられているのが秀逸。(そしてそれは自由であるとされることと実際には自由でないこととのねじれでもある)

ポスターの絵に見られるような「ぶちまける」イメージが本編においても映像・脚本両面で現れているのもよい。

その上で、結局は園子温がお気に入りの女優に好き放題しているだけなのではないかという疑問までもメタ的な設定によって取り込み、ラストは徹底的な出口のなさで締める。どこまでも巧みな構成と詩的な映像の数々。普通にロマンポルノ的なものを求めて見た人はポカーンだろうが、おそらく本作が「今の時代にロマンポルノを撮るとはどういうことか」という問いに最も適切に答えたのだと思う。素晴らしい。