るる

ANTIPORNO アンチポルノのるるのネタバレレビュー・内容・結末

ANTIPORNO アンチポルノ(2016年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

国会議事堂前から始まる、ハッハー! そうだな、これくらいやってほしい、でも、なんだろ、アンチを名乗るなら、アングラを志向するなら、もっといろいろなことに中指突き立てていただきたい。なにがアンチ、どこがアンチ。

演劇的なセット、台詞回し、好き。でも空虚で、中身が伴ってない気がする。カッコつけるなバカヤロウ。

女と女の関係の話にしてしまったあたり、男性監督が自分自身から切り離して撮ってるように見えて、ズルいと感じてしまう。女と女の愛憎まみれた関係に、そこまで執着を持って作ってるように見えなかった。

女優の身体が美しくて、好き。

衣装がいいなあ、カメラが近付くとモザイク柄、カメラが遠のくと花柄。女を遠くから見ると花、女を近くで見るとなんだかわからない、カラフルな、色。テーマと合っている。

女たちが女に手首を切らせる、なんだそりゃあ。その狂気は女特有のものではないと思うし、日本の映画ドラマが大好きな、女同士ってなんかドロドロしてるんでしょ、というイメージの世界の話に終始してる印象で。好みの問題か、SMを履き違えた醜悪なイジメにしか見えなくて困った。

女流、という言葉に中指を突き立ててるけど、やっぱり空虚。女優のことを俳優とは呼ぼうとしない日本映画界、ポルノ業界にあって、そんなことを主張されても空虚だ。

女のオナニーを特別なもののように語られたところで、性の解放という意味では、何周遅れだ、っていう。フィジカルが伴ってない言葉。声高に言うようなことじゃないだろ、女の性は女にとって、もっと日常的なものだろ、異質に見てるのは男、異質に思わせてるのは男だろ。

性嫌悪と、露悪的な性愛好。おぼこい。

なんだかなあ。

と思ったら、全ては虚構。カットの声がかかれば、カメラが止まったところでは、女優たちの関係は逆転する。男に支配された女たちの姿が映し出される。ポルノ現場に中指を突き立てる。

現実と虚構の交錯、寺山修司っぽい。

映画にも観客にも中指を突き立てる、

いや、ただの情緒不安定だろ。昇華され切ってない、行き切ってない、もっと効果的に、こういうテーマを伝える作品は、ある、傑作がたくさんあるはず、と思ってしまって、シラけてしまった。

混沌をそのまま曝け出す感じ、嫌いじゃないけど、気分じゃなかったこともあるかな。もうちょい成熟したものを観たかった。フェミニズムを知らなかった二十代前半、十代のうちに見ていたら感想は変わってたかも。妙なハマりかたをして、セックス観を拗らせていたかも。

童貞コンプレックスならぬ、処女コンプレックス、

レイプされたトラウマを引きずる、

「拗らせ」を感じる作品だけど、

好きな要素があるだけに、こんなところで引っかかりたくないなあ、引っかからなくて良かったなあ、と言う感想しか湧かなかった。

レイプされた女が性嫌悪に陥って、セックスを当たり前のものだと捉え直したくて、過激なセックスに足を踏み入れる、

まあありふれてる、でもそんなことしても救われないし、作り手だって救う気ないだろ、

しかるべき病院へ行け。自傷するな、カウンセリング受けろ。としか。思えなくて。

なんだかなあ。

リブートプロジェクト、第二弾があるなら、女性監督に撮ってほしい。えげつないリアルを叩きつけてほしい。
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