木葉

密偵の木葉のレビュー・感想・評価

密偵(2016年製作の映画)
3.7
いわゆる誰を信じていいのか分からなくなるスパイ映画だが、熱く揺さぶられるものがある。ソンガンホが昔から大好きで、この映画では卑屈で気弱だけど最後にはかっこよくてやっぱり好きだ。
日本が朝鮮半島を統治していた1920年代、日本警察と朝鮮独立運動を促進する義烈団の情報心理戦。激しい独立運動を展開する義烈団は粘り強い。日本警察はそれを厳しく取り締まろうとする。ソンガンホは日本警察に属する元朝鮮人で、義烈団を見張る中、義烈団の中の中心メンバーのコンユや、イビョンホンに近づき親しくなる。ソンガンホは義烈団の密偵(スパイ)になるのか。
朝鮮半島は第二次世界大戦で日本が敗北するまで35年間、日本の統治下であった。韓国と日本は、歴史的考察に大きな隔たりがある。誰にでも愛国心があり、元朝鮮人のソンガンホは愛国心と任務の狭間で揺れる男を人間味溢れ、存在感ある演技で魅せてくれる。
日本警察の拷問は酷過ぎて、目を覆いたくなるシーンも沢山。そして、列車の中での探り合い、アクションシーンはスリリング。
植民地であった韓国から見る日本や世界はどのように映るのか。
この映画は日本をただ悪として描くのではなく、植民地的支配から、生まれる怒り、裏切り、憎しみ、悲しみを余す事なく伝えている。
終始緊張感に溢れ、キャストの熱演、作り込み、完成度の高い作品。いろいろな角度から世界を見て、理解し合うことが必要だと教えてくれている気がする。
木葉

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