ルチル

密偵のルチルのレビュー・感想・評価

密偵(2016年製作の映画)
4.0
1920年代の服装のスタイルや時代の雰囲気が好きなのもあり、また豪華俳優陣に惹かれて鑑賞。

隣の国で日本との関わりも深いというのに、私は朝鮮半島の歴史について全然知らないのだと痛感しました。

日本警察と義烈団、お互いに探り合い誰が敵で誰が味方なのか、信用できるのは誰なのか。
冒頭での東の言葉、乱世の元では友などいないのかもしれない。
生きるために同胞の仲間を売り、日本警察の密偵であるジョンチョルに、初めは狡猾にフリをしてた友情に、なかば投げよこすように命を預けたキムウジンとの関係が、ジョンチョルが裁判で自分の心を偽り証言し涙を流す場面で、すでにだいぶん前より友情が生まれていたのだと、そこから心が動いていくのがよく表されていたなと思いました。

主役のソンガンホ、日本語での言い回しや抑揚のつけ方がとても流暢ですごい。
隠しきれない人の良さが、非道になりきれないジョンチョルによく合っていたと思います。
コン・ユの演技力を私は尊敬してるのですが、今回も頭が良くしたたかで憎めないウジンの表現が見事だったなと思います。表情の使い分けがすごい。こう言うシリアスな役がとても似合うと思う。あと、スタイルが良すぎて気が散る笑。列車内で逃げた残党を追いかけるとことか、後ろ姿がすごい美しかったわー。
イ・ビョンホンも少ししか出なかったけどさすがの存在感で、一見柔和だけど眼光は強いボスらしさが醸し出ててよかった。

アクションもリアルにエグくて緊迫感あり、拷問シーンも見てられなかったけど、鶴見辰吾が普通のテンションで指示する感じが、すでに日常茶飯事なのだというのが見て取れて、いい演出だと思う。

日本人からすると目を背けがちだけど、侵略された側にしかわからないことがあるわけで、私たちは見ておかなくてはと思いました。
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