ノッチ

人類SOS!のノッチのレビュー・感想・評価

人類SOS!(1962年製作の映画)
3.0
突然地球に降り注いだ流星雨を目撃した人間は全て失明。

そして世界が混乱に陥る中、食肉植物トリフィドはその勢力を確実に広げていた……。

原作はイギリスのSF作家ジョン・ウィンダムの執筆した、破滅SFの古典的名作。

原作小説の新訳版を読んだ勢いで、映画版も観てみたいと思い鑑賞。

原題は『トリフィドの日』ですが、邦題では『人類SOS!』という何ともB級SF的なネーミングがついた作品。

「トリフィド」とは問題の食肉植
物のこと。

流星群を目撃した人類が盲目になり、凶暴な植物・トリフィドの恐怖に晒されるという内容です。

まさに泣きっ面に蜂状態の人類。

原作では流星の正体が宇宙に散乱している人類の作った核・生物兵器が原因としていますが、映画では流星に乗ってやってきたトリフィドの、宇宙生物による侵略モノとして描かれています。

殆どの人類が突然失明した世界でのパニックを描きながらも、更に怪獣映画の要素も含まれているという、かなりお得な内容です。

今観てもそれなりに面白く、迫り来るトリフィドは不気味。

トリフェドの鳴き声が『呪怨』の清水崇監督のあ・あ・あぁ・・・に似ている。

しかし1962年製作なので、さすがにCGなどの特殊効果はしょぼい。

それでも少数の人間に絞ることで、その恐怖を生み出す。

『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』や『28日後』の元ネタらしいが、確かに運良く失明を免れた主人公が荒廃した街に立って呆然とする辺りや、ワラワラ集団で襲って来る所なんか似てる。

他にも、家を取り囲むシーン、脱走した囚人たちに家を占拠されるシーンなどは、ロメロの『ゾンビ』にも多々な影響を与えていると思いました。

多くの失明した人間がうろうろしている街、墜落する飛行機、激突する列車など、失明に混乱した人類の地獄絵図が不気味で恐ろしい。

そのうえ、あたり一面の宇宙吸血植物トリフィドが、もぞもぞと襲い来る恐怖も不気味。

一切しゃべらないが、明らかに自分たちを狙い続ける肉食歩行植物の描写が、かなり気持ち悪いです。

結末は呆気ないものですが、そこまでが丁寧に描かれているので見応えは十分。

ただ、女性の叫び声が強烈でしたね。

すごい金切り声です。

あと、病室で煙草が吸えるなんて時代を感じました。

まぁともかくいろいろな問題が次々に起こり、結構面白く見れたので、この手のパニックものが好きな人にはお薦めです。

何でも、この映画がサム・ライミによってリメイクされるとかしないとか。
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