潮騒ちゃん

ラスト・オブ・モヒカンの潮騒ちゃんのレビュー・感想・評価

ラスト・オブ・モヒカン(1992年製作の映画)
4.0
「ホークアイと共に生きていけるのなら死んでもいい…」なにかしら、この支離滅裂なトキメキは。彼の瞳に見つめられたら最後、一瞬で乙女に早変わり。目の中にハートマークが咲いてしまった。映画史上、最も守られたい男がここにいる。フランスとイギリスが先住民を間に挟み戦う背景。血生臭い戦闘シーンと様々な因果関係が重厚に絡む。なかなかのスペクタクル。が、この映画のメインディッシュはアクションではない。紛れもなく、恋だ!ラブだ!ロマンスだ!モヒカン族に育てられた男ホークアイとイギリス軍指揮官の娘コーラ。出会った瞬間惹かれ合う二人に焦点が絞られる。殺し合いの刃を避け視線を絡ませる二人…。今しかないとばかりに抱き合うシーンは夢に見る絵画のようだ。募る思いがセピア色に輝く。そして混沌の最中、芽生える恋がもうひとつ。ホークアイの弟ウンガスとコーラの妹アリスの間にも小さな恋の花が咲く。実はこちらのカップルの存在が、この映画一番の泣き所だったりする。種族間の憎しみに翻弄されながら、散っていく若い花弁…。ああ、なんて哀しく美しい。目から涙放流。それにしてもダニエル・デイ・ルイスにはとことん射ぬかれた。所作のひとつひとつにため息がこぼれる。恋人を抱く腕、俊敏な滑走、深くまろやかに響く声…。全てにうっとりはん。
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